先進国の多くは、図1の通り2050年にネットゼロを掲げ、2030年の中間目標でも、40%台から多い国で60%台の削減目標を表明しています。カーボンニュートラルの議論は、各国の主導権争いも見え隠れしており、この分野でも中国やインドの存在感が大きくなってきています。
図1:世界の1.5℃目標の達成に向けた中間目標(出典:環境省資料)
2023年度で、中国は再生可能エネルギーの設備容量が全体の5割を超えており、初めて火力発電を上回る状況になっています。国内における太陽光は24年3月末に前年比で55%、風力は同22%増えており、太陽光パネルの世界シェアで8割を超え、風力発電の分野でも部品供給等で存在感を高めています。
さらに、金融情勢やインフレ等の影響もあり、原子力を含む再生可能エネルギーのプロジェクトの大幅な見直しが開始されています。技術面での地政学的リスクの増大は、不確実性をもたらす結果となり、今後のカーボンニュートラル推進において、各国に大きな影響を及ぼすことになります。
図2:主要国のエネルギー源別発電構成比較(出典:経済産業省資料)
図2に示すように、各国のエネルギー構成は大きく異なっており、特に原子力発電への依存度や再生可能エネルギーの導入状況には顕著な差が見られます。このような状況下、カーボンニュートラルの推進に合わせて、世界的に太陽光発電・風力発電の導入が拡大しています。太陽光発電は、2021年に世界で設置された再生可能エネルギー容量302GWの半分以上を占め、最も急速に成長している再生可能エネルギーとなっています。
2022年においては、コロナ禍後の価格上昇やウクライナ等地政学的紛争があったのにも関わらず、世界の太陽光発電の累積導入量は1,185GW(約1.2TW)に達しました。同年の年間導入量が1GWを超えた国は少なくとも23ヶ国あり、累積導入量が10GWを超えている国は16ヶ国(EUを除く)もあります。
中国の導入量が世界最多の414.5GW、欧州連合(EU27ヶ国)が209.3GWで続いており、日本は2022年現在、アメリカに次ぐ世界4位(84.9GW)となっています。一方、太陽光発電と並び大きく設備容量を伸ばしている世界の風力発電の2022年末時点の累計導入量は、906GWであり、2022年の年間導入量は約270GWと過去最高となりました。
総累積導入量の多い国は、2010年にアメリカを抜いた中国が新規導入量で世界の45%を占め、その後は、アメリカ、ドイツ、インド、スペインの順となっています。また、2024年1月時点で、世界における運転中の原子力発電所は、アメリカが93基で世界最多を有しており、化石燃料などのエネルギー資源が乏しいフランスでは、電力の約75%を原発に依存しています。
原子力発電の計画は、162基の原子力発電所が建設中または計画中であり、中国は特に積極的に原子力発電の建設を推進しています。日本においては、2024年12月時点で、運転中は12基、停止中は21基、建設中3基という現状です。
エネルギーミックスにおける考え方は、現時点では過渡期であり、再生可能エネルギー及び蓄電池等のテクノロジーが今後飛躍的に向上され、系統運用を含めた分散リソースの活用が十分に可能となるまでは、エネルギー政策における原子力発電の役割は、必要とする国においては非常に重要であり、SMR等の推進を含め、日本においても大きな課題となります。
2025年2月27日
この記事を書いた人

平松 昌(ひらまつ まさる)
BlueOceanCreativePartners株式会社 代表取締役 CEO
エネルギービジネスコンサルタント
小売電気アドバイザー(登録番号1805003)、ペロブスカイト太陽電池アドバイザー(登録番号231129022)、ITコーディネータ