VPP(仮想発電所)とは?仕組みやメリット、ビジネスモデルまでをわかりやすく解説

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  • VPP(仮想発電所)とは

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  • なぜ今、VPPが注目されているのか

系統安定性の維持

2030年度の再生可能エネルギー比率36〜38%目標(※1)(経済産業省「2040年エネルギー需給の見通し」(2025年2月)では、4~5割程度)に向けて、太陽光や風力発電の導入が加速しています。しかし、これらの電源は天候に依存するため出力が変動しやすく、電力系統の安定性維持が困難になっているのが現状です。従来の火力発電に頼る調整力確保から、分散型リソースを活用した柔軟な調整力確保への転換が不可避であり、VPPがその中核的な役割を担うことが期待されています。 

(※1) 日本電機工業会「2040年における再生エネルギーの導入見直し」より引用

https://www.jema-net.or.jp/energy/re-policy/dounyu_kei.html

技術的な進展と市場の整備

IoTやAI技術の進展により、膨大な分散リソースのリアルタイム監視・制御が技術的に可能になりました。この結果、ミリ秒単位での高速制御や需給予測精度の向上が実現しています。また、2021年に需給調整市場が開設(※2)され、VPPが提供する電力調整サービス(ex:電力が足りない時や余っている時に、その過不足分を調整するサービス)に対して報酬が支払われる仕組みが確立しました。これによりVPP事業の収益性が明確になり、普及を大きく後押ししています。

(※2) 第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)における2030年度の電源構成目標

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  • VPPの仕組みをわかりやすく解説

VPPの構成要素:分散型電源と制御システム

VPPは、「電力を調整する機器群」と「それらを束ねる頭脳」の2つの要素で成り立っています。電力を調整する機器群には、家庭や企業に設置された蓄電池、太陽光パネル、電気自動車、さらには工場の生産設備など、電力を作ったり、貯めたり、使用量を調整したりできるあらゆる機器が含まれます。これらを「分散型エネルギーリソース(DER)」と呼びます。一方、これらバラバラに存在する機器を、インターネットを通じて一元的に監視・制御するのが「アグリゲーション制御システム」です。このシステムが、数百、数千もの機器を同時にコントロールすることで、あたかも1つの巨大な発電所のように機能させることができるのです。

分散型エネルギーリソース(DER)

DERには、太陽光発電(出力制御機能付き)、定置用蓄電池、EV/PHEVの車載蓄電池、コージェネレーション(熱電併給システム)、ヒートポンプ給湯器など、多様な電源と設備が含まれます。これらは電力の需要抑制や供給力の創出に利用されます。

アグリゲーション制御システム

アグリゲーション制御システムは、VPPの頭脳にあたる部分です。各DERに設置されたスマートメーターや制御機器(ゲートウェイ)を通じて、リソースの状態をリアルタイムで監視し、最適制御指令を出します。制御システムは、気象予測、電力需要予測、市場価格予測などの高度な分析と予測、あるいはAI分析を組み合わせます。これにより、経済性と系統安定性を両立する最適運用計画を自動で生成していきます。

通信プロトコルは、OpenADR2.0b(自動デマンドレスポンス用)、ECHONET Lite(家電制御用)などの国際標準規格(※3)に準拠しています。この規格準拠により、異なるメーカーの機器間でも相互接続性の確保が可能です。

(※3) 電力広域的運営推進機関(OCCTO)による需給調整市場の開設(2021年4月)

デマンドレスポンス(DR)との関係

デマンドレスポンス(DR)とは、電力需給が逼迫した際や、市場価格が高騰した時などに、需要家が電力の使用量を増減させることで系統安定化に貢献し、その対価として報酬を得る仕組みです。

VPPは、このDRを含む複数のリソースを統合管理するプラットフォームとして機能します。個別のDR参加者だけでは難しい大規模な調整力を、VPPが統合して提供できるようにしているのです。DRには、電力使用を抑制する「下げDR」と、余剰電力時に使用を増やす「上げDR」があります。VPPは、これらを組み合わせて柔軟な調整力を創出しています。DR参加者へのインセンティブは、削減量に応じて支払われます。実証事業においては、様々な価格帯でインセンティブが提供されています(※4)

(※4) OpenADR Alliance、ECHONET Consortiumが策定した通信プロトコル標準規格

関連記事:デマンドレスポンスとは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

アグリゲーターの役割とは?

アグリゲーターは、多数のDERを束ねてVPPとして運用し、電力市場や一般送配電事業者との間で調整力供給契約を締結する役割を担います。

アグリゲーターは、一般的に以下のような二層構造で構成されます(※5)

1.リソースアグリゲーター(RA): 需要家と直接契約し、個々のDERを集約・制御します。

2.アグリゲーションコーディネーター(AC): 複数のRAを束ねて、電力市場での取引や、一般送配電事業者との連携を行う事業社です。

アグリゲーターの主要な業務は、以下の通り多岐にわたります。

・DERの募集・契約:蓄電池や太陽光発電を保有する企業や家庭を開拓し、VPP参加契約を締結します

・制御システムの構築・運用:各DERを遠隔制御するためのシステムを導入し、24時間365日の監視・運用を行います

・市場への入札・取引:束ねたDERの調整力を需給調整市場や容量市場で売買し、収益を確保します

・報酬の分配・精算:市場から得た収益を、契約に基づいて各DER提供者に公平に配分します

・性能保証・リスク管理:約束した調整力を確実に提供できるよう、設備の性能維持と事故時の対応体制を整備します

国内では、関西電力や東京電力エナジーパートナーといった電力会社系企業、日立製作所やNECなどのIT系企業、製造業、地域電力や新電力、商社やリース会社など様々な企業が参加し、2025年に入ってからも増加、2025年10月時点では125社程度が、このアグリゲーター事業に参入しています。

(※5) 資源エネルギー庁「ディマンド・リスポンスについて」(2023年)における実証事業での報酬実績範囲

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  • VPP事業を展開するメリット

電力コストの削減と収益機会の拡大

再生可能エネルギーの最適活用

災害・停電時のBCP対策

カーボンニュートラルと新しいビジネス創出

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  • VPPを活用したビジネスモデルの具体例

需給調整市場・容量市場への参入モデル

需給調整市場は、電力の需給バランスを取るためのサービスを売買する市場です。ここでは、どれだけ早く対応できるかによって5つの商品に分かれています。最も早い「一次調整力」は10秒以内に応答する必要があり、主に大規模発電所が担当します。一方、VPPが得意とするのは「三次調整力」と呼ばれる、15分から45分で対応する商品です。 VPPが市場に参加するには一定の条件があります。例えば、最低でも1MW(一般家庭約300世帯分)以上の調整力が必要です。家庭用蓄電池1台では数kW程度しかないため、数百台を束ねることで初めて市場参加が可能になります。これが、VPPが多数のDERを集約する理由です。

容量市場は、将来の電力不足に備えて、発電能力を確保しておく仕組みです。電力会社は4年先の発電能力を前もって買い取り、発電事業者は「いざという時に発電できる状態を維持する」ことで対価を受け取ります。

VPPも、この市場に参加できます。例えば、2024年度向けの取引では、1kWあたり年間3,495円の収入が得られることが決まりました(※6)。仮に1MW(1,000kW)のVPPなら、年間約350万円の安定収入が見込めることになります。

(※6) 電力広域的運営推進機関「容量市場メインオークション約定結果」(2024年度向け、2020年実施)

アグリゲーターとして分散電源の統合管理ビジネス

自治体・企業による地域VPP・マイクログリッド事例

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  • VPP事業の課題と今後の展望

現在の制度・市場環境の整備状況

技術課題とデータ連携の重要性

将来のVPPビジネス拡大に向けた動き

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  • クラウド型CISが支えるVPP事業

VPP運用における顧客情報・契約管理の課題

クラウドCISによる効率化と自動化の効果

「Unisrv 電力CIS」がもたらす運用基盤の進化

ユニファイド・サービスの「Unisrv 電力CIS」は、一般電気事業者の料金ルールと新電力事業者の料金ノウハウを併せ持つパブリッククラウド上のシステムです。申し込み受付から契約管理、多様な料金計算、請求、収納代行連携まで、顧客情報の一元的な管理を実現しており、VPP事業における複雑な契約形態や精算業務にも柔軟に対応可能です(カスタマイズ対応含む)。

APIを活用した外部システム連携により、送配電事業者とのデータ交換やスマートメーターとの連携が可能であり、将来的なアグリゲーター制御システムや市場取引システムとの統合も視野に入れた拡張性を備えています。

また、30社以上・100万超需要家への導入で培った電力小売事業の業務ノウハウを基に、VPP特有の業務プロセス最適化を支援します。事業の立ち上げから拡大フェーズまで、経験豊富なコンサルタントが伴走。Salesforceを基盤としたパブリッククラウド設計により、参加リソース数の増加に応じた柔軟な拡張性と高い可用性を実現し、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)登録によるセキュリティ基準にも準拠しています。

「Unisrv 電力CIS」について詳細は下記よりご覧ください。

 

制御システムやスマートメーターデータとも連携可能な「Unisrv 電力CIS」について詳しくはこちら

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  • まとめ:VPPがもたらす次世代の電力ビジネス

VPP(仮想発電所)は、分散型エネルギーリソースを統合制御することで、再生可能エネルギーの大量導入時代における電力系統の安定化と、新たな収益機会の創出を両立する革新的なシステムです。

需給調整市場への参入、地域マイクログリッドの構築、EVとの連携など、多様なビジネスモデルがすでに実証から商用化フェーズへ移行しつつあります。

ユニファイド・サービスは、「Unisrv 電力CIS」やFIT(固定価格買取制度)システムの開発、運用で培ったノウハウで、VPP事業の複雑な業務を理解し、アグリゲーターの競争力強化と事業拡大を強力に支援することが可能です。エネルギー転換期における新たなビジネスチャンスを、確かな基盤で実現していきます。

制御システムやスマートメーターデータとも連携可能な「Unisrv 電力CIS」について詳しくはこちら

2025年12月9日

“Unisrv 電力CIS” に関する
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この記事の監修者

  • 甲斐 博一

    ユニファイド・サービス株式会社 CMO

    グローバルIT企業における23年間のマーケティング経験に経営企画のスキルも加えB2B/B2Cともに経営とマーケティングを結び付けていくことをモットーとする。また、数多くのデジタルマーケティングおよびECの立ち上げや衰退ビジネスの立て直しも経験し、Webサイトを事業に貢献させてきた経歴を持つ。現在はユニファイド・サービスにて、B2B領域のビジネスにフォーカスし、CMOとしてマーケティングを推進すると同時に、新規事業計画と成長を支援する活動を並行して実践中。経営とマーケティング、事業企画、そしてリーダーシップを次世代に伝えていくための活動もライフワークとして行っている。

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